【車旅3日目】熊野から高野山|雨の高野山と初めての宿坊体験が良すぎた話

こんにちは♪
2023年春分の日に入籍し、お互い無職の新婚夫婦で無計画な車旅へ出発。
現在は、車旅でたどり着いた屋久島で暮らしているSARAHです。
少しずつ貯めていた100万円で無計画車旅がどこまで行けるのか、訪れた場所や旅にかかった費用などをこれから少しずつご紹介していきます。
車旅2日目の記事はこちら↓
今回は車旅の3日目、熊野から高野山を巡る旅。
なかなかの移動距離ですが、この3か所を一度の旅で周れたのも、車だからできたのではないかと思います。
ハードスケジュールの旅は、その分ちゃんと宿で温泉に浸かってお布団でしっかり休むことが大事。
そして初めての宿坊体験が想像していたよりもはるかに良かった点もお伝えしたいところ。
熊野から雨の高野山、宿坊体験についてをご紹介します。
(旅の記録 2023.4.26)
湯の峰温泉の朝

昨晩の貸切露天風呂とあたたかな夕食のおかげで、旅の疲れもすっかり癒され静かな目覚め。
この日も空には雨雲が広がり、しとしととやさしい雨が降り続いていました。
朝食の前に少しお散歩をして、7:30 旅館ならではの和食の朝ごはん。
特に温泉水で炊かれた「温泉粥」は初めての味でしたが美味しくておかわり♡
食後は内湯にゆっくり浸かり、身体を芯から温まってからチェックアウト。
9:00頃、雨に濡れる山の景色を眺めながら、本日最初の目的地「熊野本宮大社」へと向かいます。
まずは熊野本宮大社へ

宿を出発して車で約15分、「熊野本宮大社」に到着。
神社のすぐそばには無料の駐車場があります。
駐車場から山道へと進み、立派な鳥居をくぐるとーーー
本宮へと続く158段の石段が目の前に現れます。

雨で濡れた石段は少し滑りやすいので、足元に氣をつけながら一歩一歩と登っていきます。
熊野本宮大社の境内には、5つの御神殿がら並んでいて、それぞれ参拝の順序があります。
事前に公式ホームページなどで流れをチェックしておくと、より丁寧にお参りできますよ◎
(私たちは知らずに行き、その時に居合わせたツアーガイドさんのお話を聞いてお参りしました笑)
ちなみに、熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社の3つを合わせて「熊野三山(くまのさんざん)」と呼びます。
それぞれに異なる御神徳があり、時間があれば三社すべてを巡る”熊野詣”がおすすめです。
空海が開いた天空の聖地、高野山へ
高野山とは

熊野から山道をぐんぐん登ってたどりついたのは、弘法大師(こうぼうだいし)・空海が開いた天空の都市「高野山」。
高野山は”一山境内地(いっさんけいだいち)”と呼ばれ、山全体が真言密教の総本山「金剛峯寺(こんごうぶじ)」の境内となっているほど、スケールの大きな聖地です。
中でも「奥之院」には、歴史上の武将をはじめとした数え切れないほどの墓石や慰霊碑、供養塔が並び、民族や宗教の違いを超えてすべてを受け入れる懐の深さを感じさせてくれます。
それこそが、1200年にわたり継承してきた精神。
今では日本を代表する観光地のひとつとして、国内外から多くの人が訪れています。
奥之院正式参拝ルート

高野山・奥之院には、心を整えて進むための正式な参拝ルートがあります。
1.一の橋(いちのはし)
2.中の橋(なかのはし)
3.御廟(ごびょう)橋
4.弘法大師御廟(こうぼうだいしごびょう)
この順で時計回りに進み、帰りは同じ道を通らずに戻るのが習わし。
全体の所要時間はおよそ2時間。
奥之院中の橋駐車場

熊野本宮大社から車で2時間半。
ようやく辿り着いたのは高野山「奥之院中の橋」駐車場。
この中の橋駐車場は無料ですが、正式な参拝ルートではちょうど中間地点。
私達は下調べをせず、ついこの中の橋から参拝を始めました(反省)。
中の橋入り口から、幻想的な奥之院へ

およそ20万基を超える諸大名の墓石や、祈念碑、慰霊碑の数々が、樹齢千年に及ぶ杉の木々と共に静かに佇んでいます。
入り口に足を踏み入れた瞬間からから、まるで異世界に吸い込まれていくような不思議な感覚に包まれました。
参道には、織田信長や豊臣秀吉などの戦国大名の墓石をはじめ、有名企業の供養塔なども。
歴史に詳しくなくても思わず見入ってしまうような見所がたくさん。
さらに、墓石や灯籠、鳥居のあちこちにびっしりと生えた苔が、この場所が長い歴史を物語っていて静かな迫力があります。
水の滴る木々の下、弘法大師御廟(こうぼうだいしごびょう)へ向かう参道は幻想的な雰囲氣を漂わせていました。
そんな時、ふとどこからともなく聞こえてきたのは、数名の女性の澄んだ歌声。
御廟橋の手前にある御供所の前で6〜7名の女性の方々が静かに歌われていました。
雨音と調和するその美しい歌声は、静かな奥之院にやさしく響き渡り、空氣をさらに神聖なものへと変えてくれました。
御廟(ごびょう)橋とみろく石

御廟橋を渡ってからは、聖域中の聖域とされる場所。
ここから先は写真撮影は一才禁止区域となっており、空氣がぐっと張り詰めるような神聖さにかわりました。
橋を渡ってすぐ左手には「みろく石」と呼ばれる丸い石が置かれていて、これはちょっとした試し石のようなもの。
この石をそっと持ち上げた時ーーー
- 重く感じた人→心が悪に染まっている状態
- 軽く感じた人→心が清浄を保っている状態
と、自分の心の状態を映し出す石なのだそう。
私は重かったです!笑
燈籠(とうろう)堂

弘法大師御廟の前方に建っているのが「燈籠(とうろう)堂」。
参拝者はここで静かに手を合わせ、弘法大師さまへの祈りを捧げます。
堂内には1000年近く燃え続けていると言われる灯が2つあり、そのひとつひとつが代々の信仰と祈りによって守られてきた歴史の深さを感じさせてくれます。
この灯火の前に立つと時間が止まったような静けさに包まれ、今ここに自分がいることへの感謝の氣持ちがふっと湧いてきます。
弘法大師御廟と地下室

御大師さまが今もなお瞑想を続けておられると伝わる場所、それが燈籠堂の先にある「弘法大師御廟(こうぼうだいしごびょう)。
燈籠堂の左側から出てお堂の裏手へ進むと、御廟へと続く通路があります。
そこではろうそくやお線香を手向け、祈りを捧げることができます。
さらにその先には地下室へと続く階段が。
地下へと降りると、そこには無数の奉納燈篭が整然と並び、「身代わり大師」と呼ばれる小さな弘法大師像が静かに佇んでいます。
最奥部にある祭壇は、弘法大師さまに最も近づける場所。
深い祈りのエネルギーが満ちたその空間に足を踏み入れると、時間の感覚を忘れ、何か大きな存在とつながっているような。
ここの存在を知らずに通り過ぎてしまう方も多いそうですが、高野山に訪れたらぜひ足を運んでほしい場所です。
金剛峯寺を参拝

高野山・奥之院を回り、再び車に乗り15:30頃「金剛峯寺(こんごうぶじ)」へ。
平安時代初期に弘法大師・空海によって開かれたこのお寺は、まさに高野山そのものとも言われる存在。
境内をじっくり拝観する場合は入館料1,000円がかかります。
今回は私たちは外からの参拝だけでしたが、広いお堂や美しい襖(ふすま)絵、国内最大級の石庭など見どころがたくさんあるようです。
- 所在地:和歌山県伊都郡高野町高野山600番地
- 拝観料:1,000円
- 駐車場:有(無料)
- 公式ホームページ
初めての宿坊体験
宿泊したのは「真田坊蓮華定院」

ずっと「いつか宿坊に泊まってみたいな」と思っていたのですが、この日の朝ごはんを食べてゆっくりしている時に、ふと「高野山 宿」で検索してみると…
その時目にとまったのが【真田坊蓮華定院(さなだぼうれんげじょういん)】でした。
どこに泊まるのがいいのか迷っていて、実は3泊目であるこの日は当日の朝に予約したのです。
少しでも歴史に興味がある方なら、「真田坊」や「家紋」を見てすぐに氣がつくはず。
そう、ここはあの真田幸村ゆかりのお寺。
鎌倉時代初期に創建され、長い歴史を持つ由緒あるお寺なんです。
「宿坊」とは、もともと参拝者のための宿泊施設で、朝夕にはお勤め(瞑想や僧侶の読経など)に参加することができ、お寺ならではの静かで禅を感じながら過ごすことができます。
チェックインの際には、お坊さんが丁寧にお部屋まで案内してくださり、初めての体験で少し背筋が伸びていた私たちも、はじめから心がほぐれました。
夕のお勤め「阿字観」を体験

蓮花定院では夕方5時から本堂でのお勤めがあり、「阿字観(あじかん)」という瞑想に参加することができます。
この阿字観(あじかん)とは、真言密教の瞑想法のひとつ。
「世界と自分はひとつである」という真理を、静かに座って体感していきます。
密教の根本経典の一つである「大日経」にも説かれており、日本には平安時代に弘法大師・空海によって伝えられました。
チェックインの際、お坊さんから
「17時からお勤めで阿字観を行いますのでよろしければご参加ください」
と案内をいただき、ぜひ体験したいと思い参加させていただきました。
薄暗い本堂に入ると前方は座布団、後方は椅子が用意されており、すでに多くの方が静かに座って瞑想の準備をしていました。
驚いたのは、ここにいる約8割が外国人だったということ。
高野山が世界中の人々を惹きつけている場所だということを改めて実感しました。
約45分間、お坊さんの導きとともに呼吸に意識を向け、自分の内側と繋がりを感じます。
最後の15分は心に響くご講話を聴かせていただきました。
日常ではなかなか味わえない、深い静寂と穏やかさ。
終わったあとは、私も宇宙の一部なんだと壮大な思いに包まれました。
精進料理の夕食

瞑想を終え、そのまま食事の広間へ。
夕食は18時に一斉スタート。
畳の広間には、各部屋ごとに分かれて赤いお盆がずらりと並べられていて、1人につき2つのお膳が丁寧に用意されていました。
食べ始めるタイミングは各グループに委ねられていて、こんなに大勢の人がいるのに静かな空間でいただく食事は初めてかもしれません。
真心込めて作られたその精進料理。
味付けはお出汁を中心に、素材そのもののおいしさが引き立つやさしい味。
野菜を中心に丁寧に調理されたおかずが並び、ひとつひとつゆっくり味わいながらいただきました。
お茶とおひつに入ったご飯が数部屋ごとに共有。
おかわりも自由ですが、全体の量としては控えめなので、たくさん食べたい方には少し物足りなく感じるかもしれません。
落ち着いた空間でゆっくりいただく滋味深いお料理は、心と身体を整えてくれるようでした。
食後はお風呂へ

入浴時間は18:00~21:00。
そのため、食べ終えた人から速やかに広間を出てそれぞれお風呂へと向かいます。
宿には大浴場があり、湯に浸かることで一日の疲れがじんわりとほぐれていきました。
瞑想→食事→入浴で、しっかり心と身体が整います。
お部屋はというと、廊下側が障子、隣の部屋との仕切りは鍵付きの襖(ふすま)で仕切られ、昔ながらの造りとなっています。
そのため、隣の方の声や生活音がそのまま聞こえてくる合宿のような感覚が近いかも。
それもまた”お寺に泊まる”という特別な体験の一つ。
現代のホテルのような快適さとは違いますが、一度でも宿坊体験することをおすすめします。
- 所在地:和歌山県伊都郡高野町高野山700
- 電 話:0736-56-2231
- 駐車場:有(無料)
- 公式ホームページ【真田坊蓮華定院】
最後に

この日は朝からしっかりとご飯をいただいたのと、夜には宿坊での夕食があったので、お昼ご飯は抜きにしました。
そして1日中降っていた雨。
けれど、むしろ雨で良かったと思えるほど、苔むした高野山の雰囲氣は素敵でした。
宿坊では瞑想やお坊さんによる心に響くご講話、やさしい味の精進料理をいただき、昔の日本人の感覚を体験したような素敵な1日となりました。
宿泊客のほとんどが外国の方というのにも驚きましたが、よく考えれば日本に生まれ育った私たちは初めての宿坊体験。
お坊さん方の丁寧で温かなおもてなしは、豪華なホテルとはまた違う贅沢な体験ができます。
ぜひ一度、高野山に限らず、「宿坊」に泊まってみてほしいと思います。
きっと忘れられない旅になるはずです!
最後までありがとうございました。